電子的ヒトリゴト

ゲイのブログ。主に読書、心理学、SOGI、日記など

物語『我が子』

「もう少しです、頑張ってください! ヒーヒーフー!」 
 助産師の声も届かないほどに痛みが全身を襲っている。それでも急速に削られていく体力をふりしぼって私は呼吸に何とか集中しようとした。
 そのとき、しだいに何かが体内から出ていくのが感じられた――。
「産まれましたよ! ・・・・・・健康な人食いワニですよ!」
 一人の助産師がいくらか大きい声でそう言い、周囲は感動的な雰囲気につつまれた。
 私は痛みのピークを越え、かるく放心状態だった。
 力が完全に抜けきった横たわった状態で、焦点が定まらない視界に助産師が抱いているそれが映った。
 ――そうか、あれが我が子なのか、と思考した。