電子的ヒトリゴト

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自尊感情よりセルフコンパッションを高めよう/『セルフ・コンパッション あるがままの自分を受け入れる』

 

セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる

セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる

 

  一般的に,高い自尊感情はメンタルヘルスの向上をもたらすと考えられてきた。しかしながら,近年,自尊感情の欠点について指摘されてきている。自尊感情の不適応的側面を考えるために,自尊感情は,随伴性自尊感情と本当の自尊感情の2種類に分類されている(伊藤・小玉,2005)。前者は不適応的で,後者は適応的である。

 本書の中では,(明確には言及されていないが,おそらく随伴的な)自尊感情の欠点について強調されている。その(随伴的な)自尊感情は,ナルシズムに似ていて,他者との比較によって優越感を得ることを要求する。つまり,失敗は許されないのである。この点において(随伴的な)自尊感情は不適応的である。その代わりに欠点がほとんどなくて利益が大きいセルフコンパッションを高めようと本書の中では提案されている。

セルフコンパッションの3つの要素

 Neffが定義しているセルフコンパッションには,3つの要素が含まれる。1つ目が,自分に対して批判的な態度を取らず優しく思いやりのある態度を取ろうとする”自分に対する優しさ”である。2つ目が,困難や弱みは自分のみが抱えている問題ではなく人間である以上誰もが体験しうるものであると捉える”共通の人間性”である。3つ目が,自分の経験による苦痛を無視したり誇張したりすることなくバランスよく捉える”マインドフルネス”である。以上の3つがそろってセルフコンパッションとなる。

 メンタルヘルスによい影響を及ぼすセルフコンパッションを高めるために,以下にエクササイズを3つ載せる。なお,本書中のものを少し改変している。

エクササイズ1:批判的な独り言を変える(pp.59-60)

 1.自分が自己批判的になっているときにそれをできるだけ正確に自覚する(どのような言葉を使っていて,どのように自分自身に語り掛けているのだろうか)。

 2.自己判断的な方法ではなく,慈悲的な方法で自己批判の声を和らげるために積極的な努力をする(自分の内なる批判家に対して批判をするのではなく,「改善すべき点を指摘してくれるのはありがたいけど,必要のない痛みを感じます」など)。

 3.内なる観察を,優しく親しみのある積極的な方法で再構成する(たとえば,自己批判的になりそうなとき,慈悲的な友人が何というか想像して,それを自分に言うなど)。

エクササイズ2:自分の定義を解放する(p.80)

 自分の自己判断の対象となる特徴(嫌な特徴)について考え,以下の質問に答える。

 1.その特徴はどの程度の頻度で表れますか。その特徴がみられないとき,あなたは自分を何者だと考えていますか。

 2.どのような状況でその特徴は表れますか。状況によってその特徴が左右されるならば,その特徴は本当にあなたを表していますか。

 3.そもそも,あなたがその特徴を持つようになった原因は何でしょうか(環境,遺伝など)。その特徴の原因が,これらの自分の責任ではない要因が影響しているとしたら,それが本当のあなたを反映していると考えるのは正しいですか。

 4.あなたはその特徴を自ら選択しましたか。ほかに選択肢はありましたか。なかった場合,なぜこの特徴について自分を責めているのですか。

エクササイズ3:日常生活の中のマインドフルネス(p.103)

 1日に1つ,マインドフルネスになりたい活動を選ぶ(歯を磨くとき,朝食を食べるとき,駐車場から職場の建物へと歩くときなど)。

 

<引用文献>
伊藤 正哉・小玉 正博 (2005). 自分らしくある感覚(本来感)と自尊感情がwell-beingに及ぼす影響の検討