電子的ヒトリゴト

心理学が好きなゲイのブログ。主に読書、独り言、心理学、SOGIなど

同性愛者の生きている世界『同性愛者における他者からの拒絶と受容』

 

  図書館で手に取った。心理学においてセクシュアリティを扱った研究は少ない。その中で、本書はそのうちの1つであり、非常に価値があると思う。同性愛者はどのような心理状態で、どのような世界を生きているのか。実はゲイである私にもよくわからない。自分の経験は、ゲイにおいて普遍的なものなのか、ほかの要因によるものなのか、それとも自分において特異的なものなのか、よくわからないのだ(あからさまに因果関係があるものは別だが)。そのような中、心理学においてセクシュアリティに関する知見を積み重ねることによって、セクシュアルマイノリティの心理状態の枠組みが提供されることになり、それはセクシュアルマイノリティの深い理解や心理的支援に繋がる。

 ところで、そもそも同性愛とはどのように定義されるだろうか。また、同性愛者の世界および周辺の世界はどのようになっているのだろうか。

同性愛の4つの基準

  本書ではLeVay(1996)に従って人々を同性愛かどうかグループ分けする際の4つの基準が述べられている。

 1つ目は、性反応の生理的指標を用いることである。つまり、男性であれば勃起するかどうかを指している。自己報告ではなく、直接測定するため、嘘がつけない。

 2つ目は、男性・女性のどちらに対して性的魅力や欲求を感じるかを回答してもらうことである。

 3つ目は、実際の性行動に基づくものである。たとえば、過去1年間の間に、男性と5回以上の性的接触があったかどうかのように具体的に尋ねる。

 4つ目は、自分が同性愛であると思うかどうかを本人に回答してもらうことである。

 どれを採用したとしても、全ては拾いきれない気がする。1つ目は、心理学的研究というより生物学的研究のほうが適している? 2つ目、3つ目は恋愛感情だけでは同性愛に入らない? また、3つ目は性的欲求があるが性行動をしていない人は入らない。4つ目は、自分が同性愛者であるが、認めたくない・認められない人は入らない。

異性愛者の同性愛者に対する態度

 本書において、異性愛者の中でも、特にどのような人がLGBに対して拒否的な態度を持ち、受容的な態度を持っているかが調べられている。その結果は以下のものであった。

 また全般的に、レズビアンよりゲイの方が受け容れられにくい。そのような中にあっても同性愛に対して比較的受容的な態度を持っている異性愛者の特徴は、女性であり、性的マイノリティの知り合いがいて、固定的な性役割にとらわれない考え方を持った人で、状態自尊感情が高い人である。(p.59)

  これは私の経験に合致する。今まで私がカミングアウトしてきた人たちは、ほとんど女性である。なぜなら男性より女性の方が直感的に受け容れてもらえそうと思えるからだ。ただし、この場合、他の要因ももちろんある。私がゲイという属性だからそう感じるのか、それともレズビアンの人も同じように感じるのか、そこがわからないとはっきりと言えない。

 また、上記の同性愛者に対する態度の研究に関して、同性愛者から同性愛者に対する態度との比較が欲しかったと感じる。異性愛者の同性愛者に対する態度を調べて、男性より女性の方が受容的であると結果が出たわけだが、それを同性愛者から同性愛者に対する態度と比べないと、どの程度受容的なものなのかが判断できない。

2つの世界を生きる

 本書における質的研究の結果、LGBの主観的な体験の多くは、あたかも2つの異なった世界を生きているかのように感じられたと述べられている(p.68)。つまり、LGBは異性愛者の世界(職場・学校・家庭など)と同性愛者の世界(LGB同士の友人関係)の2つの世界を生きていると感じているである。

 これに関しても、私の経験と合致する。以下の記事で、そのことについて触れた。

 最近は、オープンリーでいることによって、2つの世界を統合する人たちが増えてきたようだ。人前に晒されることに耐えうるだけのセクシュアルマイノリティとしてのアイデンティティを確立しないと厳しそうではあるが、2つの世界を統合したほうが気が楽なのかな。私に関していえば、段々とカミングアウトの範囲が広がってきていて、2つの世界の統合に向かっている気がする。