電子的ヒトリゴト

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ステレオタイプはどのように維持されるか『ステレオタイプの社会心理学』

 

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)

 

  本書は、ステレオタイプに関する研究を概観した本である。心理学的な知見に基づきながらステレオタイプについて論じられている。

 ステレオタイプは、誰もが、誰かに向けるものであり、誰かから受けるものである。それは、時として偏見になり、社会問題へと繋がる。偏見に関して、受ける側は敏感であるが、向ける側は鈍感かもしれない。そのため、すでに偏見を誰かに向けているかもしれない。そのような意味で、ステレオタイプについて考えることは重要である。

 ステレオタイプといえば、ひと昔前に血液型性格判断が流行った。心理学界隈では血液型と性格の関連性はないという結論が出ているのであるが、今でもたまに「高橋くんってA型?」って訊かれる。どうやら私は几帳面と思われているらしい。残念、O型なのです。wikipediaにはブラッドタイプハラスメントというワードがあるようだし、気をつけたいところである。

 こうも、なぜステレオタイプは維持されるのだろうか。初めにそのメカニズムについて述べ、次に全般的な偏見の低減方法として接触仮説について述べる。

2つのステレオタイプ維持のメカニズム

 本書の中では、ステレオタイプを維持するメカニズムとして2つの要因を取り上げている。1つ目が、仮説確証型の情報処理傾向である。2つ目が、ステレオタイプの自動的活性化である。

仮説確証型の情報処理

  前提として、人には、ある信念をもつとそれと一致する事象が生じると予期する傾向があり、その予期に従って新しい情報を探索し、解釈する傾向があるという(p.46)。いわゆる確証バイアスだと思われる。本書の例がわかりやすい。

 たとえば、「A型は几帳面」というステレオタイプをもっていると、A型の友人の几帳面なところ(例・・・ノートをきれいな字で書いている)に注目しやすくなります。その一方で、その友人の几帳面でないところ(例・・・部屋が汚い)などは見逃されがちになります。その結果「A型=几帳面」というイメージのみが確認され、「やっぱり血液型性格判断は当たっている」と考えやすくなるわけです。(p.47)

ステレオタイプの自動的活性化

  こちらは前提として、知識は、内容的に近いもの同士がまとまり、ネットワークを形成していると考える。このネットワークにおいて、ある知識が活性化されると、それに関連する知識が活性化すると想定されている(コリンズとロフタス、1975)。いわゆる活性化拡散モデルである。ステレオタイプに関しても同じように、ある手がかりが与えられると、それに関する概念が自動的に活性化するといった具合である。本書の中で、以下のように述べられている。

 たとえば血液型ステレオタイプをもっている人の場合、初対面の相手が「私はA型です」と自己紹介すると、すぐに頭の中に「几帳面」「神経質」「真面目」といった特性が自動的に活性化されることになります。このため意識していなくても、頭の中に浮かんだそれらの特性を目の前の人に当てはめて、判断しやすいといったことが生じてくるのです(p.64)

偏見の低減に関する接触仮説

接触仮説とは、異なる集団間の成員が接触することにより両者の関係が改善されるという考え方である(pp.119-120)。上記のステレオタイプを維持するメカニズムにより単純な接触は相手の偏見を強めてしまうが、有効に接触することは相手の偏見を低めるという。本書で述べられている、その有効な接触の条件について記す。

これらをまとめると、両者が平等な立場で協同活動をすること、そしてその活動を強く支持するような制度や体制が重要といえるでしょう。その協同活動が十分に行われることで、ステレオタイプ・偏見にとらわれず、個人として相手を見ることができると考えられているのです。(pp.123-124)