電子的ヒトリゴト

心理学が好きなゲイのブログ。主に読書、独り言、心理学、SOGIなど

マジックワードに陥らず、一緒に考えよう

 僕はあなたと一緒に考えたい。対話を重ね、考えを深めたいのだ。

 この世には、マジックワードというものがある。はてなキーワードでは以下のように説明されている。

 人をあたかも魔法のように思うように動かすことができるキーワード。主に意味が曖昧で、使う側の思想によって便利に扱うことが出来る言葉や幅広い意味を持つ呼称(特に蔑称)を指して呼ばれている。具体的な中身を伴わない主張をする際に都合良く用いられることが多いため、一部では使用すること自体も嫌われている節がある。

  『知的複眼思考法』の中で、マジックワードの具体例として「生きる力」「人権」「合理化・効率化」などが挙げられている。これらを使うことによって、「何となくわかったつもりになる」場合が少なくないという。

 僕はマジックワードがあまり好きではない。なぜなら、それは使う人の思考を奪うだけではなく、同じ場にいる人々の思考さえも奪うからである。上記で挙げた具体例とは少し異なりフレーズになるが、思考停止気味に「価値観は人それぞれだからね」と言われることがある。たしかにその通りだ。ぐうの音もでない。しかし、そんなことはすでに自分の考えにある。僕は、たとえそこが最終的なゴールだとしても、そこに至るまでのプロセスを通して考えを深めたいと思っているのだ。マジックワードは便利で最強だからこそ、それが発せられれば、その場にいる人は何となく分かったつもりになって終わってしまう。

 LGBTコミュニティにいると、「多様性」という言葉をよく目にする。多様性という言葉は本当に便利だと思う。「多様性を認めてほしい」と主張する当事者がいるが、僕はそんなこと言えない。それを言おうとすると、常に「自分は多様性を認めているのだろうか」と考えてしまうからだ。ある意味では「多様性を認めてほしい」と主張することは大切かもしれない。しかし、一方的に「多様性を認めてほしい」と言うのではなく、「多様性を認めるとはどういうことか」、「どうしたら多様性を認められるようになるのか」を僕はみんなと一緒に考えたいと思っている。

 僕は「自分の頭で考えよう」とは言わない。すでにそれがマジックワード化していると思うし、僕もマジックワードに陥ることがあり、自分の頭で考えている人間とは言えないからである。代わりに、なるべくマジックワードに陥らず、僕はあなたと一緒に考えたい。

 

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)

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