電子的ヒトリゴト

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ジェンダー自尊心と同性愛者に対する態度

 今回は、ジェンダー自尊心と同性愛者に対する態度について、ちょっと紹介します。偏見について書きますので、読む人によって、気分を悪くしてしまう可能性があります。ご注意ください。

 

・ジェンダー自尊心とは

 ジェンダー自尊心(gender self-esteem)は、「自分が男性/女性であることを誇りに思っている」など性別に基づくアイデンティティへの自己評価であると定義されます(鈴木・池上、2015)。

 男性異性愛者(以下ヘテロ男性とする)において、このジェンダー自尊心が高い人ほど、すなわち、自分のジェンダーを誇らしく思っている人ほど、ゲイに対して否定的になることが先行研究でわかっているようです。

・その理由→社会的アイデンティティ理論

 その理由は、社会的アイデンティティ理論の枠組みによって説明されます。この理論は、簡単にいうと、人は所属集団に基づく肯定的な自己概念を作り、自尊心を維持または高めるために、自分が所属している集団と他の集団を比較し、自分が所属している集団のほうがスゴいんだぞ! と人は感じるように動機づけられているというものです。

 ヘテロ男性とゲイの集団が互いに類似していると、ヘテロ男性にとって、男性としての自己評価が脅かされてしまうかもしれません。そのため、ヘテロ男性は、ゲイに対して否定的態度を示すことによって、互いは別々の集団だよ! と差異を明確にしようとしているわけです。それは、ジェンダー自尊心が高い人ほど、男性としての自己評価を大切にしているので、顕著になります。

 ・生物学的な違いを認識させると・・・

 そこで、生物学的にヘテロ男性とゲイは違うよ、という”架空”の説明文を読ませると、ジェンダー自尊心が高いヘテロ男性でも、ゲイに対する否定的な態度は消えるようです。これは、集団間における客観的な差異性が確保されたからだといいます。

 逆に、生物学的にヘテロ男性とゲイは同じだよ、という”架空”の説明文を読ませると、ジェンダー自尊心の高いヘテロ男性ほど、ゲイに対する否定的態度が高まるようです。これは、集団間における差異性が曖昧になったため、否定的態度によってそれぞれは異なる集団であることを示そうとしたからです。

 鈴木・池上(2015)では、それを実証的研究によって、確認したのですね。その結果は、異なる部分もありましたが、上記の説明をおおよそ支持しました。

・ヘテロ女性の場合は

 ヘテロ女性の場合は、ヘテロ男性と違い、ジェンダー自尊心が高い人ほど、レズビアンに対して好意的になるようです。その説明として、女性性の中核は共同性であることが挙げられています。

 一方で、ヘテロ女性とレズビアンには生物学的に違いはないと認識すると、ヘテロ女性のレズビアンに対する好意的態度は消えるようです。これは、同性愛の原因を非生得的で統制可能であるとみなすからだといいます。

・その結果

 その結果、鈴木・池上(2015)は、「セクシュアリティの多様性が広く認識されつつあることは社会にとって望ましい。しかし、性指向の異なる集団を内集団であると知覚することは、偏見を促進する可能性を本研究を示唆している。したがって、セクシュアリティについては、多様な集団に対して内集団との弁別性を維持しながら、互いに認め合うことが望ましいと考えられる」と言っています。

 

感想

 性はグラデーションとよく言われますが、その意図は、「性は明確に分けられるものではなく、変わることもあるよ」ということであり、「みんな同じ枠組みの中にいるのだから、偏見はやめましょう」ということだと思います。しかし、上述した結果を見る限りだと、ジェンダー自尊心の人に対しては逆効果な気もします。

 ただし、集団間の弁別性を認識することによって、否定的な態度がなくなることは、フレンドリーを意味するのとは、少し違うような気もしますけどね・・・。難しいところです。

  僕の解釈が間違っている場合があるので、気になる人は原典にあたってみてください。

 

<引用文献>

鈴木 文子・池上 知子 (2015). 異性愛者のジェンダー自尊心と同性の同性愛者に対する態度 社会心理学研究, 30, 183-190.