電子的独り言

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『ユーモア心理学ハンドブック』

 

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ユーモア心理学ハンドブック

ユーモア心理学ハンドブック

  • 作者: ロッド・A.マーティン,Rod A. Martin,野村亮太,雨宮俊彦,丸野俊一
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2011/09/23
  • メディア: 単行本
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  読みました。もう表紙からユーモアがあふれていますね(笑) 表紙を見るだけで少し顔がほころんでしまいます。

 さて、本書は非常に堅実な心理学の本で、理論的な話と実証的な話がずっと続きます。邦訳のタイトルにもあるハンドブックにふさわしいほど網羅的で、ユーモアの認知心理学や社会心理学、発達心理学、パーソナリティ・・・、などと心理学のそれぞれの領域との関連でユーモアが語られています。

 この本を読んだ一番思うことは、やっぱりユーモア大切だよなあということですね(笑)

ユーモアのスタイル

 ユーモアはいずれにせよ大切ですが、ユーモアにも良いスタイルとあまり良くないスタイルがあるのです。この本の中で分類されているユーモアのスタイルは以下の4つです(pp.257-258の本文中の文章を少し言い換えています)。

1.親和的ユーモア(affiliative humor)
 →人を楽しませるためや関係を深めるため、人間関係の緊張を軽くするために、ユーモアを使う

2.自己高揚的ユーモア(self-enhancing humor)
 →他人とうまくいっていないときにも、人生に対してユーモアのある見通しを維持したり、人生の不調和をおもしろがったり、ストレスや災難に直面してもユーモラスな展望を維持する

3.攻撃的ユーモア(aggressive humor)
 →皮肉、からかい、あざけり、あざ笑い、けなすなどのように人を非難したり支配したりするためにユーモアを用いる

4.自虐的ユーモア(self-defeating humor)
 →自嘲的にユーモアを過度に用いたり、自分がからかわれ、けなされることで他者と一緒に笑ったりするなど、自分を犠牲にして人の注意と承認を得る試みとしてユーモアを使う

  説明から何となく想像がつきますが、比較的健康的なユーモアは前半の2つで、親和的ユーモアと自己高揚的ユーモアです。一方で、比較的健康ではないユーモアは後半の2つで、攻撃的ユーモアと自虐的ユーモアです。健康的な2つのユーモアは心理的な健康の指標と正の相関がある一方で、健康的ではない2つのユーモアはその反対なわけですね。

 また、攻撃的ユーモアと自虐的ユーモアの使用には正の相関があるようで、どちらかの健康ではないユーモアを使っていれば、もう一つの健康ではないユーモアも使っている傾向があるのですね。親和的ユーモアは攻撃的ユーモアと弱い正の相関があるようで、時に友好的で向社会的なからかいが攻撃的ユーモアになる危険性があるといっています。一方で、自己高揚的ユーモアは健康ではない2つのユーモアと無関連のようで、一番健全であることが示唆されます。

 対人魅力

 個人的に興味深かったのが、ユーモアがもたらす対人魅力です(p.162-)。友人や恋人に求める特性としてよいユーモアセンスは高く評価されるらしく、優れたユーモアセンスがある人は他の望ましい特性をもっていると認知されたり、また、初対面でユーモラスな経験を相手と共有することは双方の親密さをぐっと高めたりするらしい。

 特に興味深かったのが、ユーモアセンスの共有です。一般に自分と相手の態度が似ていると相手に好意的になるのですが、自分が言った冗談に笑ってくれることは、態度の不一致によるネガティブな効果を打ち消すほど効果があるようです。つまり、ユーモアセンスを共有することは、態度の類似より大切ってことですかね。このことに関して、著者は以下のように言っています。

これらのユーモアの知覚は、類似した態度や信念の共有といった、よく研究されてきた効果よりもずっと重要であると思われる。別の観点からこれらの結果をみると、他者の言ったおもしろいことに笑うことは、自分が相手に魅力を感じていることを表現するだけでなく、他者が感じる自分自身の魅力についても促進することを示唆しているのである。(p.163)

 まあ、もちろん、容易に一般化はできないです。